【咬み合わせのコントロール(こども期)】

乳歯列から永久歯列へ,むし歯と咬み合わせのコントロール

 乳歯と永久歯が萌出する時期を混合歯列期といいます.
 この時期は 上下顎骨や顎関節はまだまだ完成していませんので,顎の骨が正しく成長させる必要があります.顎の骨に限らず,骨格は遺伝因子が約60〜70% を占めますが,残りの40〜30%位は環境的な因子をコントロールすることが必要です.いいかえると咬み合わせと咀嚼(食べ物を食べる)することにより周囲の咀嚼筋肉群を発達させ正しい方向に導くことができます.
 上顎の口蓋は舌の正しい嚥下運動で成長し,下顎骨や顎関節の多くは咬合により左右されます.

 こども期の咬み合わせのコントロールする方法は2つあります.
 ひとつは
環境的な因子をコントロールして正しい方向に発育させる咬合誘導法ともうひとつは歯を動かして歯並びと顎の骨格を代える歯列矯正法です.(歯列矯正法はクリックしてください)
 
ここでは,咬合誘導法について説明します.


1. 咬合挙上床による乳歯列から永久歯列への咬合誘導 (2級から1級に)

 小学校入学前は乳歯のむし歯が多かったのですが,むし歯予防と説明をくり返すことで,むし歯を抑制(カリエスコントロール)に成功し,咬み合わせを咬合挙上床(バイトプレーン)により誘導することで顎の骨格,歯並び,顎関節の成長を正常に発育させることができました.
 こどもの時,下唇を上下の歯の間にはさんで咬んだまま寝てしまう子がいます.これは咬み合わせが低いのが自分で嫌なので,脳からの伝令で下唇を咬むことで咬合を挙上している防御策のひとつです.しかし,下顎骨の発育抑制や顎関節の変形の原因になりますので,咬合を勉強している歯科医師により,的確な治療を受けてください.


左上写真) 6歳のとき
むし歯は多いのですが,治療はされています.下唇をはさむ癖がありました.
咬み合わせは 2級咬合で上の歯が下の歯をおおいかぶさっています.
このまま成長すると咬み合わせはくるってしまいます.
右上写真 ) 7歳のとき
むし歯は増えずに,少しずつ永久歯に代わってきました.
バイトプレーンを装着して上の歯と下の歯のバランスをとり,下顎骨と顎関節を正しい方向に発育させます.
下唇をはさんで寝ることはしなくなりました.

左中写真) 14歳のとき
永久歯にはえ代わり,むし歯はありません.
咬み合わせは 1級咬合で上下の歯列は正常です.

右中写真 ) 17歳のとき
その後,永久歯にむし歯はできていません.
こどもの頃にシーラント充填は数カ所残っています.
咬み合わせは 1級咬合で上下の歯列は正常であり,
カリエスコントロール,ペリオコントロールと
咬合誘導が成功し,理想的な結果が得られています.

左下写真) 21歳のとき
その後,永久歯にむし歯はできていません.
こどもの頃にシーラント充填は数カ所残っています.
咬み合わせは 1級咬合で上下の歯列は正常であり,
カリエスコントロール,ペリオコントロールと
咬合誘導が成功し,理想的な結果が得られています.
右下写真 ) セファロ計測の変遷
セファロ計測ではより理想的な咬合が完成している

 注 ) 咬合挙上床(バイトプレーン)は自分で取り外しします.こどもが自らの意志がなければバイトプレーンを装着しませんので,相談してください.


2. 補綴物による乳歯列から永久歯列への咬合誘導 (3級から1級に)

 中学校入学時はすけ口だったのですが,咬み合わせを補綴物(クラウン)1本で誘導することで顎の骨格,咬み合わせ,顎関節の成長を正常に発育させることができました.
 すけ口は上の前歯を下の前歯が覆いかぶさることで,上顎の発育を止めてしまうことがあります.むし歯がある場合は乳歯冠で顎の位置を誘導するだけで上と下顎の発育を正常にすることができます.ただし,歯の大きさと顎の大きさのバランスはほとんどが遺伝因子ですので,きちんと並べようとすれば歯列矯正が必要です.

このように乳歯冠やクラウン1本で乳歯列の咬合誘導ができる場合の条件は

1) 顎関節の状態
2) 歯の挺出状態
3) むし歯と歯周病のコントロールができるか否か
   で決定します.

ブラッシングの状態が悪かったり,甘味食をよく食べたり飲んだりする人はまず,それらを改善してください.

但し,乳歯冠やクラウン1〜2本で乳歯列の咬合誘導をおこなう場合は,歯並びの改善まではできません.矯正治療が必要です.

注 ) この方法は診断が難しいので,顎関節症の治療と同じ検査をおこないます.


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