顎関節症の原因と治療

 日宇歯科・矯正歯科では「増齢に伴い咬合による歯の喪失がなく,食生活や口腔系の健康や快適性を損なわず,顎口腔機能異常 (TMD) による局所疼痛,不和感,不定愁訴あるいは全身随伴症状がなく全身健康を維持することが重要である」と考えています.歯列矯正編で説明していますように,人の生涯で約40%は顎関節症による不定愁訴や全身随伴症状を訴える可能性があるのです.
 この内,口が開けられない,以前に開けられなかった人は約5%もいます.
 さらに歯並びがきれいな人でも顎関節症なってしまうことがあります.特に,中学,高校生に多くみられるようになりました.これまで原因は不明でしたが,長年の分析によって原因をつきとめ,2006年6月10日,11日,第24回日本顎咬合学会学術講演会,シンポジュウム基調講演で「顎関節症3-b(3,4型)者と機能正常咬合者の比較による咬合由来の計測の診断への応用」でそのメカニズムを発表し,賛同していただける先生も多くなりました.
 歯科において顎関節症は齲蝕,歯周病の次に多い第3の歯科疾患です.加齢に伴い発症の予防として,若い頃から審美と機能を兼ね備えた治療が必要です.

以下は,ちょっと余談になりますが,顎関節症の診断と治療に応用できる手法を報告した抄録です.この日本顎咬合学会は会員数が6000名を超え,日本最大の学会で,当日の学会場には土曜というのに約4000名の歯科医師が東京国際フォーラムに集まり,8会場で同時進講し,日曜日にはさらに登録したということで,私も驚きました.

2006年6月10日,11日,第24回日本顎咬合学会学術講演会,シンポジュウム基調講演
顎関節症3-b(3,4型)者と機能正常咬合者の比較による咬合由来の計測の診断への応用

日本大学松戸歯学部組織・発生・解剖学教室,
咬合機能研究会,
 日宇歯科・矯正歯科(佐世保市開業)     
大久保 厚司

1. はじめに
 Rocabadoの報告にある舌骨三角は頸椎彎曲に関与し,オトガイ結合部を変化させることで頸椎彎曲の是正と疼痛領域の痛みの発現をコントロールすると報告している.さらに整体学では下顎運動の中心はX軸方向に第1,2頸椎にある歯突起を中心として,下顎運動エネルギーは上顎歯から頭蓋に過剰な力を与えず分散する.しかし,その運動ベクトルに偏位があると体軸は彎曲偏位し,顎関節部や頸椎に影響を与え,継続するとその支配領域の神経並び動静脈の圧迫による全身随伴症状を伴うと考える.このように,下顎位を体軸のバランサーと捉えると骨格系における咬合診断に重要である咬頭嵌合位咬合平面(ICP.OP.)のX軸延長線,下顎角(Go Angle)が顎関節や頸椎に及ぼす前後的偏位に関与することから,機能正常咬合者群と顎関節症?-b群をセファロ計測で比較し,更に,臨床応用に役立つカンペル氏平面(Ca.P. to O.P.)との関係ならびにRocabadoの報告にある頸椎彎曲によるTMDの発現の可能性を検討したので報告する.

2. 方法
 セファロ計測において, ICP.OP.のX軸上での延長線の終末と咀嚼筋群の調和にGo angle を計測とした.尚,臨床的にはOPの延長とカンペル氏平面のなす角度をCa.P. to OP.として表した.機能正常咬合者群は性別を問わず50歳以上,全身的疾患,TMD,歯科的修復処置の既往歴がなく,歯周組織は生理的範囲内でかつ舌運動異常のない者,顎関節円板前方脱臼者(TMD-3b,4型)群はMRIにて確認した若年者16歳以上の者をセファロ計測でそれぞれ比較した.交叉咬合や片側咬みは対称から除外した.また,Rocabadoの報告にある舌骨三角を術前と術後で検証しTMDとの関連性を検証した.

3.結果および考察
 機能正常咬合者群に共通する事項はCa.P. to OP -8°,Go angle 120°と一致し,ICP.OP のX軸の延長は第1頸椎から第2頸椎と重複した.また,TMD-?b群に共通する事項はCa.P. to OP -10°,Go angle 130°以上であり,咬頭嵌合位咬合平面のX軸の延長は頭蓋骨下方の乳状突起上方に位置していた.また,咀嚼サイクルは異常サイクルであつた.これらのことから,クォードラント理論の咬合高径の不足で下顎運動の中心が歪むとの解釈より,ICP.OP.の傾きによる下顎運動ベクトルに,Go angleが咀嚼筋群に異なる方向性ベクトルの総和である運動量を変化させ, TMDの発症原因や体軸彎曲に影響を与えると考える.Rocabadoの報告にある舌骨三角は形態発育的なものであり,TMD発症者の矯正治療や補綴学的治療はさほどの変化はなく,疼痛領域の痛みの発現には関与が推測されたが,TMD由来の不定愁訴にはあまり関与しないように思われる.
さらに,Ca.P. to OP.はセファロ上と顔面計測では3°異なることからセファロ計測でのCa.P. to OP.は,Go angleを基準として捉え,咬合治療に有益であることが示された.また,この方法はこれまで皆無であった顎関節症の診断と治療に応用できることが推定された.
































1. 顎関節症とは

1) 顎関節症とは顎の位置と咬み合わせた位置がズレることで生じる疾患です. 

  咬み込んだとき顎の位置がズレることで顎関節症,咬み込んだとき歯が動くことで歯周病となります.
  自己診断するには,目を閉じて安静にして,口を大きく開けゆっくり口を閉じ,最初にどこか1ヶ所の歯と歯がぶつかった位置から,咬み込んでください.全体の歯が最初からあたっていれば正常で,最初にどこか1ヶ所の歯と歯があたった状態で,歯全体があたるように咬み込んだ時に,顎がズレるようであれば顎関節症になる可能性は高いと考えます.

  (左) 口を開けるとき音もなんの抵抗もなく,40mm以上開けれれば正常です.
   (右) 口を開けるときクリック音がすると顎関節症2型です.これは関節円板が脱臼しかかっています.
     口を開けると痛い,口が21mm以下しか開けられない場合は顎関節症3b型です.
  また,口が素直に開けられなくて前にズラしながらしか開かない場合は顎関節症3a型もしくは4型です.
  耳の中でカナリアが鳴くなどと言われる人は顎関節症のその他に分類されます.

  
注意) 早急に顎関節症を治せる歯科医院で診断してもらってください.顎関節症は放っておいても治らないし,全身随伴症状がでます


2) 顎関節症の症状

 症状は人により不規則性です.これを不定愁訴と言います.
 最初は耳のちょと手前で口を大きく開けるとコリッと音がしたり,耳の周辺が少し痛みます.これが続けばやがて口が21〜24mm位しか開けられなくなります.この時は関節円板が脱臼(はずれた)時です.
 ほとんど共通している症状は 顎関節痛もしくは顎関節周囲の痛み(耳の孔の周囲痛),肩凝り,耳鳴り等です.

 訴えは様々で,人により異なります

  顎関節症をしらずに放置していると全身的に体調が崩れて全身随伴症状がでてきます.
 
(1990年6月〜1995年1月まで日宇歯科・矯正歯科に来院し,血液検査,心電計などの診査機器による検査では異常値はほとんど認められずTMD由来の不定愁訴を訴える患者32名の徴候について調査)

 全身随伴症状として 

神 経 症 候
片頭痛,頭重感,肩凝り,背痛,腰痛,手指のしびれ感,めまい,耳鳴り,不眠,脱力感等
循 環 器 症 候
動悸,徐脈,頻脈,期外収縮,脈拍の変動,息切れ,血圧の動揺等
消化器系症候
悪心・嘔吐,口渇,心窩部痛,口臭,嚥下困難,反芻運動等
局 所 徴 候
鼻炎,気管支喘息,喉頭異物感等
全 身 徴 候
全身倦怠感,易疲労性,のぼせ,熱感,冷え症,発汗障害,神経性皮膚炎等

※ これらの症状は更年期様症状と少し類似しています.内科,脳外科などの検査で血液検査やMRIに異常がなければ,顎関節症による全身随伴症状(人により様々な不定愁訴 としてあらわれます.例えば,片頭痛,肩こり,血圧の動揺,期外収縮,口渇,嚥下困難,喉頭異物感,全身倦怠感,神経性皮膚炎など)が疑われます.診断の必要があります.


3) 顎関節周囲と顎関節症3型の解剖図と関節円板の脱臼(顎関節症3型)

 正常な 顎関節部の関節円板は顆頭の上前方に位置していますが,顎関節症3型では顎関節円板が顆頭より前方に脱臼しています.顎関節円板がはずれて(脱臼して),顎関節に痛みを伴い,口が開けられなくなります.
 口を開ける時に耳の少し手前 ( 耳珠 後縁 13mm )の顎関節からコリッと音(クリック音)がする人は関節円板の動きが異常で,口の開け閉めの時に顆頭と接触しクリック音が鳴ります.これが経時的に続くと,顎関節が脱臼して口が開けられなくなり前兆ですので,直に顎関節治療ができる歯科医院で診断してもらってください.


4) 顎関節疾患と顎関節症

 顎関節疾患

顎関節疾患
(1) 発育異常 : 下顎関節突起異常,下顎関節突起発育異常,下顎関節突起肥大, 先天性二重下顎頭
(2) 外傷 : 顎関節脱臼,関節突起,下顎窩の骨折,顎関節部の捻挫
(3) 炎症 : 化膿性顎関節炎,顎関節リウマチ,外傷性顎関節炎
(4) 腫瘍
(5) 顎関節強直症
(6) 代謝疾患 : 痛風 etc.
(7) 顎関節症 : 咀嚼筋障害,慢性外傷性病変,顎関節内障,退行性病変(変形性顎関節症),精神因子による
いわゆる顎関節症
( 顎口腔機能異常 / TMD ) の主訴

(1) 顎関節痛
(2) 顎関節雑音
(3) 顎運動障害 (慢性外傷性炎,関節包弛緩,滑膜炎,筋拘縮を含む)


5) 顎関節症は全身にどんな影響を与えるの?

 咬み合わせがズレる(顎位の偏位)と顔がゆがみ,首,背筋,腰の骨が歪みます,また,足の長さも違ってきます.下の顎は体軸のバランサーと考えられ,運動,歩行,生活の中で体を動かす時に体重移動のバランスをとる働きがあります.咬み合わせが崩れるとこのバランスがとれなくなり,顎関節症,首の痛み,腰の痛み等の症状がでます(左した図).咬み合わせがいいということは非常に重要です.
 また,良く咬めるということは硬固物(豆類,氷,タネ,アメ,乾燥食品など)を咬むことと勘違いしている人が多いのですが,硬固物をよく食べていると歯を割ってしまうだけではなく,顎関節症の1型や2型になります.良く咬んでということは,硬固物ではなく食事の際に一塊を30回良く咬むことで,食物を小さくして充分に唾液を出して咀嚼することをいいます.
 このように充分な咀嚼・咬むことで脳の5つの連合野のうち,側頭連合野を発達させます.側頭連合野は形の認識,記憶,聴覚,言葉,文字,コミュニケーションに関与し,咬むことで刺激を送り,より発達させます.また,側頭連合野は視覚や情報に関した後頭連合野,人間らしさの前頭連合野,運動連合野等の中継として働き,脳の相互的な働きを高めます(右下図).尚,咬み締めは歯の破折につながります.


  

6) 顎関節症の原因は

 日宇歯科・矯正歯科では顎関節症の原因を以下のようにとらえています(2005年7月).それに伴う研究推論を構築し,下記の事項を守って顎関節症の治療をしてきました.そして,下記 a〜c の理論が出来上がりました.本医院で顎関節症の治療の成功率は100%,再発率は 6% という成果をおさめています.

a. 咬合異常による顎関節部の緊張や炎症の周囲器官(外・内側翼突筋等の咀嚼筋群や鼓索、迷走神経)への波及によること,頭蓋骨格系と咬合平面の違が与える影響,特に咬合が関与している交叉咬合,早期接触等の歯列不正による前方・側方・後方運動抑制による下顎位の偏位や下顎枝の発育異常が及ぼす頚椎、胸椎及び腰椎へのヨーイング,ピッチング等の三次元的な継続荷重による異常彎曲とその神経支配下に局所徴候,神経症候や消化器系症候があらわれる可能性があること. (1991年〜1995年まで国内,ドイツ,台湾,韓国,インドでおこなわれた国際学会で数多く発表した)

b.咬合異常による側頭骨の偏位から蝶形骨へ歪や圧迫が波及することより脳脊髄液が変動し,橋,視床下部等に影響を与え,循環器症候を発現する可能性があること.その徴候が長期に持続することで全身徴候の可能性が考えられると報告している.(1995年〜1998年まで国内,台湾,韓国でおこなわれた国内・国際学会で数多く発表した)

c.咬合平面(咬頭嵌合位)の延長線が第1〜2頸椎(歯突起)より大きく上方にある場合.また,下顎角が130°を超える場合に咀嚼筋群の不調和を生じて生体バランスの恒常性を失うことにより,不定愁訴の発現となる.
          
(2005年6月23日の福岡歯科医師会館でおこなわれた機能咬合学会で発表した)

 歯列矯正編で骨格系1〜3型のお話をしましたが,体系的に2型は猫背,3型に近い骨格はヘルニヤになりやすいように首と背骨が曲がっています.
これらの骨格を彎曲させる最も大きな原因が咬み合わせです.咬み合わせは体軸のバランサーであり,咬み合わせが狂うと肩凝り,耳の周辺の痛み,片頭痛などの不定愁訴とそれに伴う全身随伴症状が現れます.その症状が長く続くと体調が大きく崩れたり,疼痛の為に精神集中力が欠如して個人的にも,社会的にもうまくいかず,ついに精神的にマイってしまいます.
 これらの症状がある人は,内科や脳外科で血液検査や脳梗塞などの異常がないかどうかを調べてください.全身的な疾患がない場合は咬合治療が有意義である場合が多く,咬合診査をおこなってください.
 



2. 顎関節症の分類と診断

 お悩みの症状から顎関節症の何型かを自己診断してみてください.顎関節症は直ちに治療が必要です.放っておくと口が開けられなくなり,食生活や社会生活は勿論のこと全身的な随伴症状による悪影響を与えます.

顎関節症1型  
Masticatory muscle disorders
咀嚼筋障害

主訴
筋痛 ( 筋緊張,筋スパズム,筋炎 ),顎関節の運動痛,下顎運動障害
下顎運動障害
筋のこわばりや,筋痛による開口制限
数回訓練すると開口量は増大.基本的な下顎運動異常は認められない
随伴症状
頭痛,肩凝り,頸部痛,腰痛,耳症状
精神・心理的な症候
抗鬱,不安傾向
顎関節症2型
Capsule-ligament disorders
精神・心理的な症候
抗鬱,不安傾向関節包・靱帯障害
 
主訴
顎関節部疼痛 ( 開閉口時の運動痛,咀嚼時痛 ),顎顔面の打撲,むちうち損傷,硬固物の無理な咀嚼,過度な開口などの外傷性,ブラキズムなどの口腔習癖および異常顎運動などの内在性外傷.
関節包,外側靱帯,関節後部結合組織および滑膜に外力による組織の過度の伸展,圧縮およびねじれによる.
外来性外傷 ; 顎顔面の外傷,むちうち損傷,過度な開口.
内在性外傷 ; 硬固物の無理な咀嚼,口腔習癖( ブラキズム )
顎関節症3型
Disc disorders  
関節円板障害
主訴
関節円板の転位 ( 前方転位92%,側方転位6%,後方転位3% )
 (1) 3a型

( 関節円板の復位をともなう ) / なんとか口は開く

開口相 :

初期 : 下顎頭が回転運動から滑走運動に移行しはじめる際,転位した関節円板後方肥厚 部をくぐり抜けることによりクリックとなり,その後,正常な円板と下顎頭の関 係となる.
中期と末期 : 関節円板の転位がより進行しているため,下顎頭が関節結節を超えなければ
( 大きく開口 ) 円板と下顎頭の関係は正常に復くしない.
閉口相 : 末期のクリックが多いが,既存の咬頭嵌合位に戻る少し手前の位置で再び前方に転位.
 (2) 3b型

( 関節円板の復位はない: クローズドロック )/口は片側で21mm,両側で11mmしか開かない

急性クローズドロック
相反性クリックの症状を既往に有し,突然開口量が20〜30mm程度に制限.
内視鏡では滑膜部が発赤し,急性滑膜炎を呈する.
慢性クローズドロック:
開口量が35〜45mm程度,最大開口時のみ患側へ偏位.
慢性クローズドロックと2型は極めて類似
顎関節症4型
Degenerative joint disease,  Osteoarthritis
変型性関節症
 主訴
関節痛 ( 運動痛,圧痛 ),開口障害 ( 下顎頭の運動障害),
関節雑音( Crepitus, Click, 可触性雑音 ) のいずれか
画像診断
MRIなどが必要
下顎頭辺縁の不透過性の骨造生像,関節面の骨皮質の不整な吸収性骨変化,
下顎頭の吸収性の変化にともなう縮小化
その他
心身医学的,顎関節症の疾患概念にあてはまり,分類1〜4型に該当しない
身体表現性障害の概念 : 身体的になにか障害があると思わせるような身体症状がみられるが,症状を説明できるだけの器質的所見が認められず,生理学的メカニズムも不明で,むしろ心理的要因ないし葛藤に由来することが考えられる.また症状は随意的に生みだしたり,消したりできない点で虚偽性障害ないし詐病とは異なります.


3. 顎関節症になりやすいこと

顎関節症になりやすい食物の種類
 
 
豆類 : ピーナツ,アーモンド
 ・タネ類 : 梅干しのタネ,ひまわりのタネ,
 ・乾燥食品 : 乾燥バナナ,ビーフジャッキー,スルメ等
 ・氷,
 ・アメ,
 ・キャラメル,
 ・ガムをよく噛んでいる
 ・冷凍カズノコ
 ・鳥の軟骨
 ※ これらは歯の破折もおこしやすい食品です.

顎関節症になりやすいこと
 
 
・片側咬み(咬み癖がある),歯ぎしり,咬み込む癖,
 ・ 頬杖をよくする,どちらかのアゴを下にして寝る(腹這いで寝る),アゴを鳴らす癖
 ・ 吹奏楽器 (フルート,サックスなど)
 ・ 格闘技 (ボクシング,空手,ラグビーなど)などの激しいスポーツで頸椎損傷を起こした時



4. 顎関節に関連した全身疾患(線維筋痛症,腰椎ヘルニア,頸椎ヘルニア,むち打ち症,更年期様症状の治療)

 全身と咬み合わせの関係は

 食事をする時に食物を咬みつぶすことを咀嚼といいます.アゴの関節の位置と咬み合わせた位置があっていれば,通常,食塊を20〜30回位は咀嚼します.そして,消化や抵抗力を増す唾液を十分に分泌します.しかし,アゴの位置と咬み合わせがズレていれば十分な咀嚼はできず,唾液の分泌も悪くなります.
 アゴの位置と咬み合わせがズレていれば,放っておくと全身へいろいろな障害がでてきます.
 顎関節症であれば,アゴの関節 / 耳の周辺(顎関節部)に痛みを伴い,口が40mm以上開けられない,口を開けると左右どちらかに傾く,口を開けたり閉じたりするときにコリッと音が鳴る,緊張性頭痛,片頭痛,耳鳴り,肩こりをはじめとして首の痛み,めまい,頭重感,手指のしびれ,腰痛,力が入らない,全身倦怠感,血圧の変動など人により症状が異なる病気です.
 時には急にめまいがして倒れたり,力が入らずに歩けなかったりします.人により様々な症状を訴えるのが特徴です.内科的に何の異常もなかった場合などこれに当てはまります.
 さらに,アゴの関節に痛みやクリック音などの症状を訴えなくても,人により慢性頭痛,腰痛,力が入らない,全身倦怠感,血圧の変動,肩こり,脱力感,やる気がない,抑うつなどの症状がある方も咬み合わせの診査では顎関節症のその他の分類に当てはまる場合があります.
 例えば 顎関節症,初期のヘルニアによる腰痛,むち打ち症,更年期様症状で体調不全を生じている場合や歯ぎしりなどは咬み合わせを改善すること(咬合治療)で早期に治ることもあります.

 脳と咬み合わせの関係は

 咬むことは脳の側頭連合野を刺激し,脳内ホルモンを活発に分泌させます.側頭連合野は形の認識,記憶,聴覚や他の連合野領域の中継となる分野です.ちょうど,おなかは空いていないのにピーナツを食べ始めたら止められないという行為は,咬むことで側頭連合野に刺激を送り,L-グルタミン酸,ドパーミンなどの脳内物質(神経伝達物質)を出させることで,精神を安定させているからです.
 正しい位置で咬むこと,言い換えますと,適正な顎関節の位置と咬み合わせがあっていることで,精神を集中させることができるので,精神安定や脳のはたらきのためにとても重要です.
 また,原因不明の疼痛やMyofascial Pain/MPS, 筋・筋膜痛/ 線維筋痛症も脳などの中枢系に関連している場合もあり,顎関節症の分類のその他として取り上げられています.

 歯ぎしり/ブラキズムの原因は(歯ぎしりは咬合治療で治るの?)

 歯ぎしり(ブラキズム)はストレス性のものと,アゴの関節に由来する器質性のものがあります.
 アゴの関節に由来するものは顎関節症と呼ばれ,咬み合わせた位置とアゴの関節の位置が異なる(ズレている)ことで,寝ている間の無意識下で自分の歯を削って咬み合わせとアゴの適切な位置にあわせようとする行為ですが,歯ぎしりを続けても,小児期の乳歯歯列の歯ぎしり以外,大人の場合の歯ぎしりは自然に治ることは少ないようです.このような場合,歯列矯正などの咬み合わせ治療によって,良くなると歯ぎしりは止まります.
 また,ストレス性の歯ぎしりも,このような顎関節治療で治る場合もあります.

 腰痛と咬み合わせの関係は(腰痛は咬合治療で治るの?)

 腰痛の原因は体軸の彎曲によって脊椎や筋肉の異常で起こる腰痛,内臓疾患から起こる腰痛ならびにストレス、心身症、ヒステリー、うつ病などによる精神的原因で起こる腰痛があります.
 このうち,体軸の彎曲によって脊椎や筋肉の異常で起こる腰痛はアゴの位置を変えてやることで治る場合もあります.また,ストレス,心身症,ヒステリー,うつ病なども長期の咬合治療になりますが,咬合治療で軽減したり,改善することもあります.
 通常,重いものなどを持ったり,過度のスポーツで急にぎっくり腰になった場合は,スプリント療法でその場で腰痛はとれます.
 内臓疾患から起こる腰痛は胃,腎臓,脾臓の炎症性の疾患や尿路結石,腹部大動脈瘤,子宮内膜症,腹部や腰部の腫瘍や癌などで原因疾患の治療が必要です.

 むち打ち症と咬み合わせ (むち打ち症は咬合治療で治るの?)

 むち打ち症は追突事故,激しいスポーツ時や頭に重い物が落ちたときの衝撃などで首(頸椎)が間接的な衝撃を受けたときに,むちのようにしなる動きをすることによって頚椎をとりまく軟骨(椎間板),靭帯,筋肉など組織や血管や神経までダメージを受けることが原因です.首の痛み,頭痛,重い肩こりをはじめとして人それぞれに症状が異なる不定愁訴が続きます.むち打ち症の特徴は,直後には自覚症状はないか軽い痛みなのですが,受傷の1〜2日後から1週間で症状がひどくなることも多いようです.ほとんどが,頸部局所症状の首の後ろの部分の痛みやこり,緊張感などです.むち打ち症の大半は、発症してから4〜5日ですこしづつ症状が治ってきて1〜2週間もすればか後遺症もなくなり軽くなり,やがて無症状になることが多いようです. 
 しかし,重症になると頚椎損傷や椎間板(首の)ヘルニアになることもあります.首の熱感やこわばり,背中の痛み,肩の痛み,頭痛や頭重,胸の痛みやしびれ,だるさなどが現れるたり,意識障害,目のかすみ,めまい,耳鳴り,難聴,嚥下痛,腰痛,下肢痛などがみられる場合もあり,いくつかの症状が重なるケースも多いようです.患者さんは何とも言えない首やその周囲が痛く,身体が重く,吐き気などや憂鬱な気分が続き,何をするにも精神的に苦しいと訴えることが多いようです.
 むち打ち症には症状により4つのタイプに分類されています.
 むち打ち症全体の70〜80%を占める靭帯が引き伸ばされたり,傷ついて捻挫を起こした状態の頚椎捻挫型,頚椎神経が圧迫されて首の痛みのほか、腕の痛みやしびれ、だるさ、後頭部の痛み、顔面痛などの症状を招く根症状型 (咳やくしゃみ,首を横に曲げたり,回したり,首や肩を一定方向に引っ張ったときに増強します),後部交感神経症候群とも呼ばれ,椎骨動脈の血流が低下して後頭部や首の後ろの痛み,めまい,耳鳴り,難聴,目のかすみ,眼精疲労などの症状のバレ・リユウー症状型 (ときに知覚異常や声のかすれ、嚥下困難、胸部の圧迫感もあります),下肢のしびれや知覚異常が起こり,歩行障害が現れる脊髄損傷や圧迫を受けた場合に脊髄症状型があります.

 むち打ち症は咬合治療を早めに受けることで頸椎損傷に加わる負荷をやわらげ,全身への影響を抑えることができます.また,むち打ち症が牽引,温熱療法,針治療,レーザー治療などで長期に改善しない場合でも咬合治療はある程度有効です.


 更年期様症状と咬み合わせの関係は(更年期障害は咬合治療で治るの?)

 更年期障害は卵巣の機能が衰えはじめて女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に変調する閉経をはさんだ45〜55歳位の前後10年に発症する身体的,精神的不調 の症状で,ほてり,発汗,肩こりや頭痛,イライラや憂鬱など更年期障害の症状はきわめて多岐にわたります.
 卵巣機能低下(エストロゲンの減少)によるものや自律神経失調による症状で,症状は個人によって現れ方や強さはまったく異なります.診断は上記の自覚症状のほか,血中のエストラジオール濃度,FSH(卵胞刺激ホルモン)濃度などを検査します.血清脂質,骨粗鬆症,高血圧,動脈硬化などの2次疾患を招くこともあります.更年期障害の治療には多くはエストロゲン補充療法(女性ホルモン補充療法)が有効で,この他,精神症状には精神安定剤や漢方療法が用いられることもあります.

 更年期様症状は身体的,精神的不調 の症状で,ほてり,発汗,肩こりや頭痛,イライラや憂鬱など更年期障害の症状と類似しています.原因の無い生理不順など,体軸のひずみが原因によるもので,内科診断で異常がない場合は,更年期様症状や生理不順は咬合治療で改善する場合があります.


 統合失調症と咬み合わせ(統合失調症の症状は緩和するの?)

 統合失調症は100〜120人に1人が罹患する最も多い精神病の一つで,年齢に関係なく発病しますが,14歳〜35歳代頃までの発病が多くみられます.病態は多くの遺伝子と多くの環境との相互作用が関係して,神経伝達物質が過剰に働いてしまうことで,情報伝達に混乱をきたして色々の症状が出現し,脳の働き(機能)が障害されて現実を正しく判断できなかったり,感情のコントロールや正しい意思決定ができなくなったり,よい対人関係をもつことが困難になる病気です.
 統合失調症の症状は多彩で,誰かが監視している,誰かが自分をあやつるなどの妄想,現実にはない声に話しかけられたり,命令されたりする幻聴,混乱した思考とまとまりのない会話や行動,落ち着きのなさ,まとまりのない知覚,感情の不安定さ,感情鈍麻など,思考内容の貧困化,意欲減退,閉じこもり,注意・集中力の障害などもみられます.
 急性期の症状は
 1)妄想(妄想気分,妄想知覚,妄想着想)
 2)思路の障害(話題に一貫性がなく矛盾や飛躍)
 3)幻覚(幻聴,まれに幻視)
 4)自我意識の障害(自分の行動が他に操られている)
 5)感情障害(喜怒哀楽に乏しく,冷淡,無関心)
 6)意欲障害(根気がない,怠惰な生活)
 7)行動障害(同じ場所に同じ姿勢でうずくまる,空笑,ひとりごと)
 8)対人関係(自分の世界に閉じこもる,食事や薬物の拒否)など
 統合失調症の仮説ではドーパミン仮説が主に統合失調症の陽性症状を説明するのに対し、グルタミン仮説は統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方を説明しています(聖マリアンヌ医科大十文字学園女子大脳科学から見た統合失調症より). 
 統合失調症の治療法の基本は薬物療法です.統合失調症治療薬には抗精神病薬,持効性抗精神病薬,非定型抗精神病薬などがあります.定型抗精神病薬と呼ばれる従来の治療薬に加え,新規抗精神病薬が開発されたことで,幻覚や妄想を消失させるだけではなく,治療の根本である社会復帰が少しだけ可能になりつつあります.その他に病状の回復や程度に応じた精神療法やリハビリテーションも行われ,症状が激しい時期の治療には抗精神病薬が特に効果を発揮し,急性期でも慢性期でも再発を防ぎ精神療法やリハビリテーションをスムーズに進めていくためには,長期にわたる薬物をきちんと飲み続けることが必要です.薬物療法は薬を止めると再発の可能性が高くなります。

 統合失調症の慢性期のリハビリテーションの一つとして,咬み合わせの異常を訴える場合は,スプリント療法があり,症状が少し軽くなります.しかし,薬物療法の服用を止めれば効果はありません.治療期間中に何度も長時間電話されたり,突然,医院や主治医を悪く考えたりしますので薬物療法とスプリント療法を併用してください.



5. 画像診断

1) MRIによる画像診断
 顎関節症の3型,4型は治療を始める前にMRIによる画像診断が必要です.X線では顆頭と関節窩の位置関係だけで,顎関節円板や咀嚼筋等の軟組織が写つりませんのでMRI撮影が必要です.

  MRIにより,左右の顎関節突起(顆頭)と関節円板の状態を閉口時と開口時で診査します.
 この人は顎関節症4型で,既に左右の顎関節円板は前方脱臼をしていて,元の位置にはありませんでした.口が11mmしか開けられなかったのです.顎関節治療をおこなったて11年になりますが,口は45mmも開けることができ,話すとき,歌うとき,咀嚼するとき,嚥下するとき,運動するときなどにはなんの支障もでなく生活されています.でも,顎関節円板は前方にあり,もとには戻っていません.
 症状がでてから顎関節症の治療をするのも必要ですが,クリック音(口を開けるときに耳の手前で音がする時)がしたら直に咬合治療をはじめることで顎関節部の関節円板等の損傷も予防できますから,最も良い方法でしょう.

2) X線キャビネによる顎関節撮影

右TMJ  左TMJ
X線では顆頭の動きは診断できるが,関節円板が写らない.


6. 咬合診査の一例

 ME機器を使ったコンピューター診断.当医院ではシロナソアナライジングシステム(SGG/AG)による,咀嚼サイクルを分析しています.咀嚼サイクルは異常波形がなく,一律したサイクルでなければ,経年的に顎関節症や咬合性外傷により,歯をなくします.他に.MPA,咬合による力学診査,問診による診査など.

 
SGG/AG      1軸性のマグネット    理想的な左右咀嚼サイクルのコンピューター解析



7. 顎関節症の治療に関した治療費,方法と期間の目安.

 
顎関節症は顎の位置と咬み合わせた位置が異なることで発症します.治療にはその人に合った咬み合わせを理想的に再構築して,再発がない状態にしなければなりません.

 保険適応では残念ながら顎関節症の治療はX線診断とバイトプレーンだけです.
バイトプレーンは顎関節部の安静にして咀嚼筋群の緊張・弛緩・拘縮を正常な状態に戻すこと,それにより咀嚼筋肉優先となっていた下顎位を本来の骨格系優先とする適正な位置を探す時に使います.
 しかし,顎関節症3型,4型およびその他に分類されるの人 ( 顎関節症1型,2型を除く人 /人によっては1型から2,3,4型に次々に移行する人もいます )は.ほとんどが今咬んでいる位置とバイトプレーンを装着して顎関節部の安静と下顎位の適正な位置を探しだしても,下顎が奥に引っ込んで出っ歯のようになる,逆に,下顎が前方に飛び出してすけ口になるなど,きちんとした咬み合わせから変な咬み合わせに代わります.
 これらの原因は顔面頭蓋の上下顎の顎の大きさ,咬合平面や下顎角など骨格系に異常にありますので,バイトプレーンによる方法だけでは顎の位置が代わったまま,あくまでも再発がない根治治療ではなく,再発が予想される姑息療法にとどまると考えられます.

 では,治療には顎の関節の位置が歯を咬み合わせた位置とズレることなく,一致させることが必要ですから通常の顎関節症の治療は健全な歯も治療既往がある歯も,顎関節の原因となっていればその歯を削って仮歯で様子を診ながら,症状が消えて補綴物を装着します.しかし,症状改善の為の根治にしろ姑息にしろ,歯を削るのですからその歯が治療したものであればいいのですが,健全歯であればなおさら削りたくはありません.
 そこで,日宇歯科・矯正歯科は歯を削ることを最小限にとどめる為に歯列矯正可能な人は特殊な歯列矯正で治療していきます.この特殊な歯列矯正法は咬合平面を改善するばかりでなく,非常に高度の技術を必要とする下顎角をより理想的な角度へ変遷する方向に働かせます.また,既に補綴物やインプラント治療をおこなっている人で顎関節症にかかった人でも治療可能です.矯正治療と補綴処置による咬合治療を併用する場合があります.

1) 顎関節症の診断

 電話でアポイントをとられた後,日宇歯科へお越し下さい.顎関節症の説明を除いても診査に約 2 時間ほどかかります.この際,他科でおこなわれた最も近い日にちの血液検査などのコピーがありましたらご持参ください.
X線撮影,咀嚼サイクル,写真撮影,口腔診査,顎機能咬合診査やその他ルーティーン検査をおこないます.
 
2) 顎関節症の治療費と期間

 
顎関節症の分類型,状態により治療費と治療期間は異なります.

(1) 歯列矯正だけで治ると診断された人の治療費,期間と通院に関して
 
a. エッジワイズ法(表からの矯正) : 総額 55万円前後 (TMD診査を含む)
  b. リンガル(裏からの矯正) : 総額 100万円前後 (TMD診査を含む)
 
c. 治療期間は約1年半〜2年半前後, 通院は原則的に月に1回
  注意) 他の矯正歯科に途中で代っても,TMDの治療法は異なりますので,原則的に月1回の通院不可能な人はご遠慮ください.

(2) 歯列矯正と歯冠補綴が必要と診断された人の治療費,期間と通院に関して

 既に歯冠補綴物が装着されている場合は矯正用のブラケット装着できる冠(矯正用冠)に入れ替えなければなりません.この冠は1本2万円・暫間的なもの(矯正用冠)です.その後,顎関節症の治療矯正をはじめますが,再び半永久的で審美的な補綴物に入れ直します.
  
(1) に準じ,半永久的で審美的な補綴物 1歯につき
  ・セラミックポーセレン〜ハイブリット  ・・ 5〜7 万円
  
注意) 他の矯正歯科に途中で代っても,TMDの治療法は異なりますので,原則的に月1回の通院不可能な人はご遠慮ください.
   
(3) 歯冠補綴だけで顎関節症治療を希望される人の治療費,期間と通院に関して

 顎関節症の診断が終わり次第 治療には入りますが,既に歯冠補綴物が装着されている場合において,顎関節症の原因となる冠や不適合な補綴物は除去します.そして,顎関節症の原因となる健全歯も含めた全ての歯を削って顎関節症治療用仮歯(レジンテンポラリー冠)に,置き換えます.この冠は1本5千円で,暫間的なものです.その後,顎関節の症状と咬み合わせをを診ながら,顎関節症治療用仮歯を幾度となく代えていきます.平均的ですが6度(平均12本 X 5千円 X 6回)は代えていかなければなりません.
 a. 補綴処置による期間は約1年半〜2年半前後,通院は原則的に月に6回
 b. 顎関節症治療用仮歯(レジンテンポラリー冠)1本・・5千円 X 原因歯 X 回数
 c. 顎関節症治療用仮歯(レジンテンポラリー冠)装着の為の咬合器装着関係(チェックバイト,ゴシックアーチ,咬合診査) 2万円 X 回数
 d. 半永久的で審美的な補綴物 1歯につき・セラミックポーセレン〜ハイブリット  ・・ 5〜7 万円
 
※ 注意) 顎関節症の分類によって異なりますが,1型や2型は歯冠補綴による治療は顎関節症は改善しますが,通院回数が非常に多いこと,期間が長くかかります.3型,4型やその他の分類の人は歯冠補綴による治療では全身随伴症状を含めて不定愁訴が全て消えることはありませんので,矯正治療を基本としてください.
 特に顎関節症3型,4型の患者さんも術者の歯科医師も非常な労力がいるわりには完治することはありませんので,矯正治療を基本としてください..

 注意 ) 説明に時間がかかりますので前もって電話でアポイントをおとりください. ( Tel 0956 - 33 -5821 )

8. 顎関節症の治療の実際

 咬み合わせが体軸の中心です

 
運動する時など下顎は身体のバランサーとして働きます.体軸 (頸椎,脊椎,腰椎)や頭の骨のゆがみとかみ合せ(咬合)は密接な関係があり,体軸が変化すると骨がゆがんで咬み合わせに異常が起こり,咬み合わせに異常が起これば骨が歪んだり,体軸が曲がります.そのために,体軸である頸椎,脊椎,腰椎のどこかが曲がり,その領域の神経圧迫や血管を圧迫することにより様々な不定愁訴や全身随伴症状がおきてきます.咬み合わせを正しい位置にもどすと骨のゆがみや体軸の曲がりがなくなり,血管や神経圧迫を取り除きます.この方法を咬合治療といいます.

 不定愁訴や全身随伴症状を改善するのに咬合が第一の条件であることは
1) 咬合平面の延長が第1〜第2頸椎の歯突起付近にあること
2)下顎角が日本人平均125°より小さく,120°であること
3) 眼下窩下縁平面と上顎第一大臼歯口蓋咬頭平面が平行であり,左右下顎枝の長さと角度が同じであること
これらを満たすことが必要です.また,下顎角や下顎枝の長さに問題がある場合は上記した理想値に近い数値まで咬合治療(歯列矯正,補綴,外科処置など)によりバランスをとっていきます.
 術前と咬合治療をおこなった術後をコンピューターによる咀嚼サイクルや限界運動の解析からもかなりの改善がみられることや不定愁訴の消失により説明・納得が得られます.

 
しかし,咬合のズレや傾きを体軸を整体調整しても,咬合がズレたままでは元に戻り,2〜3日で再発してしまいます.また,単なるスプリント類でむやみに咬筋などを引き延ばすことは歯の歯根膜,骨,顎関節の受容体や下垂体にある咬合中枢に破綻をきたせるため,あまり得策ではないように思います. 
 咬合治療によって正しい咬み合わせをつくりますので,再発はほとんどないのが特徴です.

学会リンク
日本顎咬合学会  http://www.ago.ac/
咬合機能研究会  http://www.k5.dion.ne.jp/~kinoukog/index.html
関連ページ 咬み(噛み)合わせがおかしい



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